手関節と周辺の疾患について①

 こんにちは。 わかくさ整骨院高松院の西山です。 日々の暑さで夏バテになっていませんか? 日頃から少しずつでも水分補給とミネラルを摂取して熱中症対策をお互いにしていきましょう。

 今回は、手関節とその周辺で起こる疾患について話していこうと思います。 最近、手首や手指の動きがわるいなと感じている方もいらっしゃると思いますので参考にしていただけたらと思います。 1回目は骨折と末梢神経障害についてかいていきます。


1 手関節とは
2 手関節と周辺の疾患


この流れで書いていこうとおもいますので、よろしくお願いいたします。

1 手関節とは 

 手関節は複数の関節からなり、主に橈骨手根関節と手根間関節からなります。

関節運動
 橈骨手根関節は楕円関節といって骨頭が楕円状で関節窩がくぼみを持つ関節で回旋はできるが回転が出来ない関節です。他には顎関節等があります。

 手根間関節は蝶番関節といって関節がドアのちょうつがいのような仕組みになっていて一方向にだけ曲げ伸ばしができるように運動を制限されている関節となります。他には肘関節等があります。

 手のひらには8個の小さな骨があり、親指側の橈骨や8個の骨と連結して関節を構成しています。



 

2 手関節と周辺の疾患

1 橈骨遠位端部骨折
 骨折の頻度が高く、幼児から高齢者まで幅広い年齢層に発生する骨折です。
幼児は若木骨折や竹節状骨折などが多く、予後は良好です。ときには骨端線離開が発生する場合があります。10歳代以降では手関節の近位1~3㎝付近での完全骨折が多い。

 高齢者は粉砕骨折や多発骨折が多く、粉砕したものは解剖学的な整復は困難で、長期間の固定を施すと関節機能が障害され、一方、固定期間が短いと変形します。固定に関しては相反する2つの面の要素をもっています。

 高齢者の場合は解剖学的治癒より機能的治癒に主眼をおき、肩、肘、手、指の各関節運動に注意して、できるだけ早期に自動運動を開始する必要があります。

 橈骨遠位端部骨折には種々のタイプがありますが、日常臨床的に多く遭遇するのは橈骨遠位端部伸展型骨折、いわゆるコーレス骨折です。

① コーレス骨折

 コーレス骨折の発生機序は介達外力によっての発生が多く、直達外力によっての発生はものすごくまれです。

 手掌を衝いて転倒した際に、橈骨遠位端に受ける長軸圧と手関節を含んで強度の伸展(背屈)力が強制され、手関節1~3㎝近位の部分で骨折します。 この際、前腕遠位端に過度回外の捻転力が加わるとされています。



 後療法としては、再転位しやすい骨折となるので留意して手指の運動は拘縮予防の為翌日より開始して循環の改善を図ります。約4~5週間で骨癒合を認めたら固定を除去して徐々に手関節の自動運動を開始します。

 高齢者の場合には、肩、肘関節に拘縮が生じることが多いので、患者自身に積極的に運動を行うように指示します

 合併症、後遺症も多い疾患となるので注意が必要です。

② 舟状骨骨折
 手根骨は近位列(豆状骨、三角骨、月状骨、舟状骨)と遠位列(大菱形骨、小菱形骨、有頭骨、有鈎骨)からなり、橈骨手根関節、手根中央関節、手根間関節、手根中手関節を形成して固有の運動性を有しながら掌背側から強靭な靱帯で補強されて手関節全体として協調性のある動きを可能としています。

 手根骨の過伸展損傷は手根間関節、手根中央関節に発生しやすく手部から介達された力は手根部を経て橈骨関節面に伝わりその経路上の損傷が手根部の骨折、脱臼になります。
手根骨骨折は、舟状骨骨折次いで月状骨骨折が多く発生し臨床上も重要です。

 舟状骨は近位列手根骨に属し、形も大きく可動性も大きい。そのため圧迫力、橈屈力、剪断力などの外力の影響を受けやすくこの骨折は手根骨骨折中もっとも発生頻度が高い。
一方、舟状骨骨折は手関節捻挫として見落とされやすいので注意が必要です。

 舟状骨骨折は骨折した箇所により関節外と関節内骨折に分けられ固定期間に大きな差が生じます。固定も適切に行う必要があります。 仮に偽関節になったとしても、腕立て伏せ運動ができないくらいで日常生活に支障が少ないことが多い。

③ キーベック病
 月状骨無腐性壊死、月状骨軟化症ともよばれ、なんらかの原因で月状骨への血行が遮断されて発生すると考えられています。

 発生機序としては、若年者では手関節をよく使うスポーツ活動で発生することが多く、中高年では手関節を酷使する職業に発生しやすい。軽微な外傷をきっかけに発症することもあります。症状は手関節の運動痛、可動域制限、握力低下がみられ、進行例では変形性関節症を認めます。

④手根管症候群
 絞扼神経障害中、もっとも頻発する疾病で手根管は凹型に配列した手根骨と掌側をおおう屈筋支帯により形成されるトンネル内を屈筋群とともに通過する正中神経が圧迫されて発生する。


 発生機序は骨折や脱臼の合併症として発症することもありますが、多くは特発性です。トンネル内の狭小化を招く因子としては、変形性関節症、関節リウマチ、ガングリオン、屈筋腱腱鞘炎、脂肪腫、透析によるアミロイド沈着などがあります。女性に多く、閉経後に発症することもあります。

 症状としては、第1指から第4指橈側半分にしびれ感があり、このしびれ感は早朝に強く、手を振る事で軽減します。疼痛は手関節、手指にみられ、母指球は萎縮し筋力低下が起こりボタンかけやつまみ動作が不自由になります。

⑤ 尺骨神経管症候群(ギヨン管症候群)
 尺骨神経は尺側に豆状骨、橈側は有頭骨、天井は掌側手根靱帯、床は豆鉤靱帯で構成された尺骨神経管(ギヨン管)を通ります。 このトンネルが絞扼部位になって神経障害が起こります。

 発生機序としては、手根部の打撲やサイクリング等長時間のハンドルでの圧迫、手を衝くスポーツ、ガングリオンによる圧迫が原因の大部分となります。症状は、第4、5指のしびれ感、疼痛があり、鉤爪指変形や巧緻性障害(自分が思うように指を動かせない)が現れます。感覚障害は手の掌側尺側のみに現れます。


鉤爪指変形



最後に
 手関節に痛みや不安がある方もいるとおもいます。 当院でも手関節周囲に痛みを訴えて来院される患者様もいますので、気になることがあればお気軽にご相談ください。次回は手指にに関する疾患について書きますので宜しくお願い致します。

​わかくさ整骨院高松院
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  • 西山浩太

    このブログの記事は「西山浩太」が書きました。

    尽誠学園高等学校→香川介護福祉専門学校→四国医療専門学校
    2004~2011 デイサービスにて生活相談員従事
    2016~2021 外科医院にてリハビリ業務従事

    国家資格
    柔道整復師
    介護福祉士

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